情報漏えい、うちの会社は大丈夫?中小企業が今できる対策と気をつけたいこと
AI・DXと情報セキュリティ
こんにちは。アイエーアイの藤本です。
情報漏えいのニュースを見ると、「うちの会社は大丈夫かな」と気になりますよね。お客様の連絡先、問い合わせフォームに届く情報、ネットショップの注文データ。普段の仕事を少し振り返るだけでも、会社にはいろいろな情報が集まっています。
そこにAIの話も加わると、「何から手をつけたらいいの?」と感じる方もいると思います。まずは、自社でどんな情報を持っていて、誰が管理しているのか。身近なところから、一緒に整理していきましょう。
私たちアイエーアイも、お付き合いしているお客様も、中小企業が中心です。専任のIT担当者がいるとは限りませんし、社長や事務担当の方が、ほかの仕事と兼ねて管理している会社もありますよね。
だから今回は、「専門知識がなくても確認できること」「保守会社に聞けば分かること」まで、できるだけ身近な話にしてみます。忙しい方は、まず後半の「今日から始める3つの確認」を、社内で話すきっかけにしてみてください。

まず、お伝えしたい3つのこと
- AIが悪用されることはあります。ただ、個々の事件の原因は調査結果を確かめましょう。
- お客様の情報は「必要な分だけ集める・見られる人を絞る・必要な期間だけ残す」。
- 更新やログインの管理、バックアップ。いつもの管理を続けられる仕組みをつくりましょう。
1.「最近の情報漏えいは、AIのせい?」
AIは、文章を考えたり、プログラムを分析したりするのが得意です。仕事を助けてくれる一方で、その力が不審なメールの作成や攻撃用ツールの開発に使われるケースも報告されています。
例えば、Anthropicが2026年9月に公表した報告書には、Claudeをサイバー攻撃などに悪用しようとした活動と、それを阻止した取り組みが紹介されています。AIの悪用は、手元のパソコンなどで動かす「ローカルAI」に限った話ではないんですね。 [1]
ただ、ここは落ち着いて見ておきたいところです。「AIが悪用されている」という話だけで、国内の情報漏えいも全部AIが原因だとは言えません。個々の事件については、被害企業の調査や公表内容を確認することが大切です。
「社内で動くAIなら安心」と思っていませんか?
ローカルAIは、自社のサーバーや手元のパソコンなどで動かすAIのこと。外部にデータを送らずに処理する構成を選べるので、会社の大切な情報を扱ううえで、メリットがあります。
それでも、使うパソコンの管理や、誰が使えるか、入力した内容がどこに保存されるかは確認が必要です。「社内で動いているから大丈夫」で止めずに、情報の行き先まで見ておきたいですね。
2.情報が漏れたあとも、心配が続くことがあります
メールアドレスが漏れると、迷惑メールや、自分を狙った詐欺につながることがあります。免許証などの画像であれば、なりすましに悪用されるおそれもあります。
パスワードなら変更できます。でも、名前や生年月日、顔写真は、そう簡単に変えられませんよね。「今のところ何も起きていない」で安心しきれないところが、情報漏えいの厄介な点だと思います。
図解① 情報流出から二次被害まで
01 侵入のきっかけ
古いソフト・盗まれた認証情報・公開設定の誤りなど
02 情報の持ち出し
顧客情報・ログイン情報・本人確認書類の画像など
03 二次被害のおそれ
詐欺メール・アカウントの乗っ取り・なりすましなど
3.その情報、本当に集める必要がありますか?
セキュリティというと、まず「どんな対策ソフトを入れるか」を考えるかもしれません。それとあわせて見直したいのが、情報の持ち方です。
「念のため集めておこう」「いつか使うかもしれないから残しておこう」。そんな情報が増えていないか、確認してみてください。Webサイトや仕事の流れを考えるときは、次の3つに分けると整理しやすくなります。
| 見直す場面 | 確認したいこと |
|---|---|
| 集める前 | その入力項目や書類画像は、本当に必要か。利用目的を説明できるか。 |
| 使うとき | 担当者だけが閲覧できるか。共有リンクや委託先の権限が広すぎないか。 |
| 残すとき | 保存期間と管理責任者が決まっているか。不要になった情報を適切に削除できるか。 |
例えば、ちょっとしたお問い合わせなのに、住所や生年月日まで必須になっていないでしょうか。本人確認書類の画像を、社内の誰でも開けるフォルダに置いていないでしょうか。こうした身近なところにも、見直せる点があります。
本人確認書類などを残す必要がある場合は、業務や法令の条件を確かめたうえで、保存先を分ける、見られる人を限定する、暗号化するといった対策を組み合わせます。ネットにつながない場所に保管するとしても、持ち出すときやデータを戻すときのルールは必要です。
これは気持ちの問題だけではなく、個人情報保護委員会のガイドラインでも、扱える担当者や情報の範囲を絞ること、不正アクセスを防ぐことなどが求められています。[2]
4.専任の担当者がいなくても。今日から始める3つの確認
いきなり高価な機器やソフトを選ぶ前に、まずは今の状態を確認してみましょう。全部を一度に終わらせる必要はありません。分からない項目があれば、確認を頼む相手と、いつまでに聞くかを決めるところからで大丈夫です。

① 会社のメールとサイトに、誰が入れるか
会社のメール、ホームページの管理画面、顧客データを置いているサービス。この3つについて、誰のアカウントがあり、今もその人が使う必要があるかを確認します。
退職した方や、契約が終わった外注先のアカウントが残っていたら、必要なデータの引き継ぎを確認してから利用を止めましょう。みんなで一つのIDを使っている場合も、可能なものから一人ずつのアカウントに分けていきたいですね。
「多要素認証」という言葉は少し難しいですが、例えばパスワードに加えて、手元のスマートフォンでも本人確認する仕組みです。対応しているサービスでは設定しましょう。設定に迷ったら、保守会社などに相談してください。
② ホームページの更新は、誰の担当になっているか
「制作会社に頼んでいるから、全部やってくれているはず」。ここは一度、契約内容を確かめたいところです。記事の更新と、WordPress本体などの安全性に関わる更新は、担当や契約が別になっていることがあります。
保守会社には、このまま聞いてみてください。
「うちのサイトは、本体・テーマ・プラグインの更新も保守に含まれていますか? 最後に確認したのはいつですか? 問題が起きたときは、どこへ連絡すればよいですか?」
ご自身で更新する場合も、バックアップと動作確認の準備が必要です。分からないまま、まとめて更新や削除をするより、担当者と手順を確かめて進めましょう。
③ 大事なデータは、消えたら戻せるか
「バックアップは取っていますか?」に加えて、「何日前のデータを、誰が、どうやって戻せますか?」と聞いてみてください。顧客台帳や受注データが使えなくなったら、明日の仕事に何が困るかを考えると、優先順位もつけやすくなります。
保存先と復元方法は担当者に確認し、実際に戻せるかも定期的に確かめましょう。同期サービスは、削除や変更まで反映されることがあります。「クラウドにあるから大丈夫」と思わず、履歴から戻せる期間や、別のバックアップの有無を確認しておきたいですね。
これらは、IPAの「情報セキュリティ6か条」や中小企業向けガイドラインを、日々の仕事に置き換えた確認例です。端末のウイルス対策や共有設定、攻撃の手口を知ることもあわせて進めましょう。[3] [5]
少人数の会社ほど、気をつけたい「つい、いつものやり方で」
忙しいと、使い慣れた方法で済ませたくなるものです。例えば、こんな場面はないでしょうか。
- お客様の名簿を、個人のメールや私用のチャットへ送る。会社で決めた共有方法を使い、見られる人と保存先を確認しましょう。
- 急ぎの送信で、宛先や添付ファイルを確認しない。送る前に一呼吸。社外へ出す情報は、受け取る相手と中身を見直しましょう。
- 共有リンクを「リンクを知っている全員」にしたままにする。必要な相手だけが見られる設定にし、使い終わった共有も見直しましょう。
- 「社長から」「いつもの取引先から」だから、そのまま対応する。急な送金や振込先の変更は、普段から把握している電話番号など、別の方法で確認しましょう。届いたメールに書かれた番号だけを頼りにしないことも大切です。[6]

社内のルールも、最初から立派な冊子にしなくてよいと思います。「顧客データを置く場所」「社外に送る前の確認」「困ったときの連絡先」を、まずA4一枚にまとめてみる。人が入れ替わったときにも、引き継ぎやすくなります。
そして、気になることを見つけた人が、すぐ相談できる雰囲気も大切です。「クリックしてしまったかも」と言われたら、まず一緒に状況を確認する。早く分かるほど、対応に動きやすくなります。
自社でできる確認と、専門家に頼むことを分けておく
担当者や契約を確認する、共有範囲を見直す、社内の連絡先をまとめる。こうしたことは、社内で始められます。一方、サイトが改ざんされた、知らないログインが続いている、顧客情報の流出が疑われるといった場合は、保守会社や専門家へ早めに相談してください。
費用をかけるときも、「何を守るために必要なのか」「導入後は誰が管理するのか」まで聞いてみましょう。製品を入れたあとも続けられるかが、私たちのような小さな会社には大切だと思います。
AIにも、手伝ってもらいましょう
例えば、確認する項目をまとめたり、難しいセキュリティ情報を読みやすく整理したり、社内向けのお知らせの下書きをつくったり。こういう場面では、AIにも手伝ってもらえます。
もちろん、お客様の情報やパスワード、社外に出せない記録を、そのまま外部のAIに入れてよいわけではありません。利用条件や社内ルールを確かめてから使いましょう。
また、実際のシステムの弱点を調べる診断は、対象と許可範囲をはっきりさせ、専門家が管理する手順で行うものです。AIの答えにも間違いはあります。判断や設定の変更は、人が確かめることが欠かせません。
5.もしものとき、最初に誰へ連絡しますか?
何か起きたとき、すぐに連絡する相手の顔が浮かぶでしょうか。社内の責任者、サイトの保守会社、相談できる専門家。電話番号と契約内容を、一か所にまとめておきましょう。会社のメールが使えなくなっても連絡できるよう、紙などでも手元に残しておくと安心です。
不審なアクセスや情報の流出が疑われたら、そうした担当者と連携し、被害を広げない対応と記録の保全を進めます。慌てて記録を消したり、独断で初期化したりすると、原因を調べにくくなることがあるので注意してください。
個人データの漏えい等では、一定の要件に当てはまると、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になります。「調査が全部終わってから」と待つのではなく、必要な対応を早めに確認しましょう。[4]
誰が判断するのか、お客様には誰から連絡するのか、委託先には何を頼めるのか。何も起きていない今のうちに、話し合っておきたいですね。IPAの中小企業向けガイドラインには、事故対応の手引きや社内ルールのひな形もあります。[5]
6.私たち自身も、利用者としてできることを
ここまでは会社側の話でしたが、私たち自身もいろいろなサービスに情報を預けています。預けた先からの漏えいは、自分が気をつけるだけでは防げませんよね。それでも、その後の被害を減らすためにできることはあります。
- 漏えいの連絡を受けたら、メール内のリンクからではなく、公式アプリや確認済みの公式サイトから案内を確認する。
- パスワードが漏れたおそれがあれば変更し、同じものを使っていた別のサービスも見直す。
- 利用できる場合は多要素認証を設定し、ログイン履歴や利用明細を確認する。
- 本人確認書類の流出や身に覚えのない契約・請求があれば、案内された窓口や契約先へ早めに相談する。
特に「情報が漏れました。こちらから手続きしてください」という連絡には、慌てず公式の窓口から確認を。上の項目は、IPAが示すログインの安全性や、なりすましへの備えを、日常の行動に置き換えたものです。[3]
便利に使うために、安心できる土台もつくっていきましょう
AIもWebサイトも、仕事を前に進めるための頼もしい道具です。安心して使っていくために、情報の扱い方も一緒に整えていきたいと、私は思っています。
まずは、自社の問い合わせフォームを開いてみる。管理画面に入れる人を確認してみる。バックアップの担当者に声をかけてみる。そんな一つからでも、始められます。大きな会社と同じ体制をすぐにつくるのは難しくても、自社の状況に合わせて、できることを一つずつ増やしていきましょう。
アイエーアイでは、Webサイト制作やDX推進、AI・データ活用のお手伝いをしています。「うちのサイト、誰がどこまで管理しているんだろう」「AIを使いたいけれど、情報の扱いが気になる」。そんな段階でも、お気軽にお声がけください。今の状況を伺いながら、何から見直すか、一緒に考えていきましょう。
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